黄酒入門

黄酒とは <紹興酒と何が違うの?>

「黄酒」(ファンチュウ※拼音huang jiu)とは、穀物を原料として麹、酵母によって発酵されたアルコール飲料です。

中国最古の醸造酒として世界三大古酒とも言われているこのお酒。でもなかなか耳慣れないジャンルだと思います。

僕は黄酒の品揃え日本一(多分世界一かも)の都内の某中華郷土料理店での勤務をきっかけにこのお酒に興味をもち、本を読んだり現地の方から話を聞いたりするなどして、いろいろと調べてきました。

その経験と知識を元にいくつかの記事に分けてこの黄酒を紐解いて解説していきます。間違っている部分があれば適宜修正していきます。

紹興酒はあまり現地で飲まれていない???

中国酒ときいて、思い浮かぶお酒は何ですか?

おそらく、「紹興酒」と答える方が多いのではないかと思います。「白酒」という方もいるかもしれませんね。

紹興酒は中国を代表するお酒です。ただ、実は中国現地では食中酒としてよく飲まれているエリアはほんの一部でしかありません。

僕は中華郷土料理店で働いていたとき、中国人スタッフと触れ合う機会はたくさんありました。そのうち、元々紹興酒が好きだ、という人にほとんど会ったことがありません(笑)紹興酒は料理酒だ!と断言する人もいたぐらいです。

いくつか行った中国のレストランのメニューにもあったりなかったり。日本人の方が紹興酒を食中酒として楽しんでいるような印象さえあります。

紹興酒とは?

「紹興酒は紹興市で造られたお酒」

という説明がなされていたりしますが、厳密にいえばこれは説明不足だと思います。紹興で造られていても紹興酒と認められないものも流通しているからです。

正しくは、下記のようなお酒です。

「浙江省紹興市を産地として、さらに国が定めた基準をクリアして認められた糯米の醸造酒」

紹興酒の主原料は糯米。そして麦麹を使用します。水も「鑒湖(かんこ)」という会稽山脈から流れる上質な水源のものを使用しなければならないし、使用する小麦の等級が決められていたり、と国家が定めた基準がしっかりとあります。それをクリアしないと紹興酒と名乗れないのです。

実際に、このマークがその証です。地理的表示製品のマークです。このマークは国が基準をしっかり定めて保護していこうという証。その基準をクリアしたものに貼られます。

これがなくても「紹興酒」として流通しているものが正直あります。そういうものは極端に格安だったり、名称が紹興酒ではなくて、「紹興●●酒」とか名前を少し変えているので要注意。「安いからこれでいいや」と選んでしまうと、それはもしかしたら紹興酒ではないかもしれません。

では、黄酒とは何?

紹興酒はワインでいえばシャンパンと同じようなもの。シャンパンはシャンパーニュ地方のスパークリングワインですよね。紹興酒は、紹興市で造られ、かつ国の基準をクリアした黄酒です。

そう、黄酒とは、紹興酒を括るひとつの酒のジャンルなのです。最初に説明した通り、穀物を原料としてアルコール発酵させた醸造酒を黄酒といいます。

紹興酒の正式名称は、「紹興黄酒」。紹興は中国においてひとつの地方でしかありません。広い中国には各地に日本未流通黄酒が多数存在しています。

黄酒の名称が全く日本に伝わってきていないのは、おそらく中国が国としてひとつの自国文化を世界に発信する選択肢として、紹興酒がわかりやすく、売り出しやすかったからだと思います。2000年以上の歴史があるのは事実ですし、日本酒同様、並行復発酵という世界的にも高度な技術を用いて造られるお酒です。国としてこのお酒をプッシュしていきたいのは自然な流れといえるのではないでしょうか。

ただ、中国各地の黄酒生産者の人たちも紹興酒に負けじと誇りをもって造っているのも確かだと思います。紹興酒だけが黄酒ではない。シャンパンだけがスパークリングワインでもないし、テキーラだけがメスカルというわけでもない。それと同じです。

紹興酒は紹興地方の黄酒。広い中国には、青島黄酒や福建黄酒などさまざまな黄酒があるということ。しかも、原料や生産方法がそれそれ異なったりするので、味のバリエーションがとっても豊富なんです!まさにクラフトビールならぬクラフト黄酒?とでもいいましょうか。この酒の楽しさは僕もまだ計り知れていません。もっと探り続けていきたいものです。

長くなるので今回はここで一旦止めておきます。