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だんらんvol.1 at Matsushima(代々木上原・中華)〜紹興酒の枠を越えた中国酒ペアリング〜

2020年10月16日(金)、代々木上原の中華料理店「Matsushima」にて中国酒ペアリングの会を開催しました!

今回のテーマは「すべて中国酒」。最初の一杯目から、ラストまで白酒や黄酒で揃えました。

温度を変えたり、フルーツを加えてみたり、グラニテにしてみたり、さまざまな工夫をして飽きないように工夫したつもりです。

結果は、とても楽しんでいただけたと思います!でも、まだまだ改善の余地はありそうです。

今後も開催していけたらなと思っております。第一回目の記録をここに残します。

1.『スパークリング白酒』×『チワン鶏』

一杯目はお口をすっきりとしていただきたく、スパークリング風の白酒をご用意しました。料理はお酒に合わせて油分のあるややインパクトのある料理を合わせたく、チアン族料理をアレンジした「焼きモモ肉のパクチー辛和え」をご用意いたしました。弾力のある鶏肉と鼻から抜けていく華やかな香りに合わせて、フルーティでシュワっと爽快な白酒の新スタイルをお楽しみください。

作り方

ワインの酸味は、クエン酸とリンゴ酸、そして酒石酸から構成されています。それらの成分が含まれた果物を白酒に浸けてワイン風味にし、それを炭酸で割ったスパークリング風のドリンクです。飲み過ぎに注意です。。。

クエン酸→レモン、グレープフルーツ
リンゴ酸→リンゴ
酒石酸→ぶどう

これらのフルーツを潰して白酒に漬け込みました。そのお酒を原液にし、炭酸で割っています。

使用した白酒『老龍口(ラオロンコウ)』

中華食材店にて購入。遼寧省瀋陽市内ではシェア8割を占める特産品。瀋陽市は日本の緯度でいえば函館あたりですね。

巣鴨の「シリンゴル」で飲んで好きになりました。(確かボトルは違う)

口に含むとミルキーで柔らかな甘味が舌にとろけます。もちろん、喉元を熱くする白酒ならではの刺激もしっかりあとから膨らんできます。でも42度のせいかその刺激も柔らか。価格も750円で購入できて安い。家に一本常備しておきたい白酒ですね。

酒Data

度数:42度
原料:高梁、小麦、大麦など
産地:遼寧省瀋陽市

料理紹介『チワン鶏』

「鬼鶏」というチワン族が住むエリアで親しまれている激しい辛さが特徴の現地料理をアレンジしています。ライムを入れることで辛味だけでなく、爽やかな風味に。また、白酒に漬け込んだフルーツとの橋渡し役としてもうまく役立ってくれています。

 

2. 『朱鷺黒米酒』×『前菜盛り合わせ』

今回は敢えて、地方の黄酒を選びました。中国北方の「黒米酒(ヘイミー)」です。爽やかな飲み口は、こってりとした中華料理だと負けてしまうこともあるのですが、前菜の盛り合わせのような小さなポーションでいろいろつまむときには重宝します。さまざまな料理と、紹興酒とはまた違った地酒の組み合わせをぜひご堪能ください。

酒紹介『朱鷺黒米酒(ヘイミー)』

産地である陝西省洋県は国が自然保護特区しているエリアで、有機栽培の黒米は「洋県黒米」として地理標示保護産品として認定されています。その一級の黒米で造られた非常にフルーティな黄酒(ファンチュウ)です。

酒 DATA

 産地:陝西省洋県
 度数:9度
 原料:黒米、麦麹

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料理紹介『前菜の盛り合わせ』

①黒毛和牛肩ロースの四川風辛味ソースがけ

黒米酒は肉との相性が良い黄酒です。さらに、辛味ソースをほのかな甘味が包んでくれるので心地よい掛け合いがお楽しみ頂けるのではないかと思います。

②豆腐干の冷菜

「豆腐干(ドウフーガン」とは、固めに作った豆腐をさらに圧縮して脱水したもの。それを千切りにしたものをサラダ風に仕立て上げました。

③ホンビノス貝の葱生姜ソース和え

北米からの外来種の貝。白ハマグリや大アサリとして売られていることが多いです。今回は湯引きして葱生姜ソースで合えました。

 

3.『百吉』×『ペイ族風自家製モッツァレラ&帆立の磯ソースがけ』

百吉(バイジー)は内蒙古の地酒で、牛乳を原料として造られています。乳製品との相性が抜群で、今回はおそらく日本初ともいえる中国チーズ、松島さん渾身の雲南自家製モッツァレラとお楽しみください。

もう一品は百吉のすっきりとした味わいに、海鮮の旨味がたっぷり感じられる帆立と磯ソースとが心地よいバランスを生みます。

酒紹介『百吉(バイジー)』

内蒙古の壮大な自然で育った牛のミルクから造られた非常に珍しい醸造酒。爽快な日本酒を彷彿とさせるも、後味に独特な個性を感じます。

酒 DATA

 産地:内蒙古
 度数:12度
 原料:水。牛乳、白砂糖、乳清粉

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料理紹介『ペイ族風自家製モッツァレラ』

松島さんが雲南省ペイ族の村で出会った現地でしか造られていないチーズ。パパイヤの発酵液から造る独特な製法は世界的にも類を見ない珍しい生産方法です。発酵トマトと共にお召し上がりください。

料理紹介『帆立の磯ソースがけ』

炒り焼いた旨味たっぷりの帆立に、磯のりで作ったソースをかけました。シンプルながら、海鮮の旨味たっぷりのお料理です。

 

4.『缸缸好(ガンガンハオ)』×『鴨肉黄豆醤炒めとくずしタロイモ 銀杏クミン塩和え添え』

独特な風味を持ちながらも日本人の舌に馴染みやすいふくよかさが特徴の缸缸好。芋や味噌との相性が抜群です。今回はタロイモのねっとりと口に残るまろやかさと、コクのある黄豆醤、そして黄酒にぴったりな鴨肉のコンビネーションで合わせてみました。

酒紹介『缸缸好(ガンガンハオ)』

中国南方を代表する沉缸酒(チェンガンジョウ)は、過去に開催された中国評酒会で紹興酒のどの銘柄でも為し得なかった3度の金賞受賞を実現し、「黄酒之冠」と称された実質No.1黄酒ともいえます。缸缸好はその現代版として、本来の味わいよりもすっきり爽快に仕上げられています。

酒DATA

 産地:福建省 龍岩
 度数:12度
 原料:糯米,薬・紅麹,山泉水

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料理紹介『鴨肉黄豆醤炒めとくずしタロイモ 銀杏クミン塩和え添え』

タロイモをペーストのようにくずして炒め、鴨肉を中国のもろみ味噌ともいえる黄豆醤(ファンドウジャン)で炒めたものをオンしております。それぞれをお楽しみいただいてもよいですが、ぜひ一緒にお召し上がりください。料理を食べて、缸缸好をひと口飲み干してその組み合わせをご堪能いただいたあと、銀杏をひとつ口に放っていただくと、口の中がスッキリとして、またその後のひと口を新鮮な気持ちでお楽しみいただけるはずです。

 

5.『麗子佳人(桑の実)』×『黒酢酢豚』

桑の実100%の果実ワインは、タンニンが弱く、単体で飲んでも優しく飲みやすい味わいですが、濃厚で甘さと酸味が強烈に強い酢豚を包み込む強さを兼ね備えております。赤ワインとはまた少し違うマリアージュをどうぞお楽しみください。中国酒の可能性をきっと感じていただけるはずです。

酒紹介『麗子佳人(桑の実)』

広州地方でブドウではなく、その他の果実を使用してワインを醸造している珍しいメーカーの一品。桑の実はポリフェノールの一種であるアントシアニンが非常に豊富に含まれています。赤ワインで感じられるタンニンの渋味はあまりなく、ベリージュースの感覚でお楽しみいただけるはずです。

酒DATA

原料:100%桑果汁
度数:12
産地:広東省 広州

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『黒酢酢豚』

今更説明することもないのですが、野菜と一緒に炒めた酢豚とは異なり、肉のみの黒酢酢豚は上海風と分類されます。

 

6.お口直し『白酒グラニテ』

濃厚な酢豚のあとは、お口直しが必要と考え、白酒のグラニテをご用意いたしました。

作り方

白酒にはフルーティな香りの源でもある吟醸香の成分(カプロン酸エチル)が多く含まれています。フルーツとの相性は意外にも良いのです。今回は、パイナップルと白酒を撹拌させてトニックソーダを混ぜて冷凍しました。

 

7.『即墨老酒清爽型』×『海鮮あんかけ炒飯』

日本酒同様に米から造られる優しい味わいの即墨老酒(ジーモウラオジョウ)を人肌燗にしました。元々のふくよかさがさらに広がります。海鮮料理が盛んな青島のお酒と、熱々の海鮮の旨味がたっぷりのあんかけ炒飯の組み合わせをお楽しみください。

酒紹介『即墨老酒清爽型(ジーモウラオジョウ)』

お米の他、クコの実や蜂蜜も合わせて使用する青島黄酒。カラメル不使用でクリーンな口当たりと色合い。常温でも、冷やしてもおいしく楽しめる黄酒です。

酒DATA

 産地:山東省青島
 度数:11.5度
 原料:大米、クコ、蜂蜜、麦麹

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料理紹介『海鮮あんかけ炒飯』

「久しぶりに炒飯作ったわ」と松島さん(笑)即墨老酒に合わせる料理は、これがお米のお酒であること、そして燗の状態がお米のふくよかさとマッチするのではないかという想定からいろいろと試した結果、あんかけ炒飯に決まりました。

これが一番人気だったかもしれません。瞬殺(笑)

8.『阿里山烏龍茶』×『茶白酒』×『クルミの飴がらみ』

最後はやっぱり中国らしくお茶でシメていただきました。ただ、今日は酒の日です。せっかくなので、最後までお酒を楽しんでいただきたく、白酒に茶葉を漬け込んだ「茶白酒」も一緒にお出ししました。

酒紹介『阿里山烏龍茶』×『茶白酒』

阿里山烏龍茶は台湾産の高山茶です。霧が立ち込めやすく、朝晩の寒暖差が激しい劣悪な環境で育つこの茶葉は、生き延びるために栄養分を蓄積させるようです。すっきりとしながら何度も楽しめる奥深い味わい。

茶白酒に使ったお酒は、スパークリング風でも使用した老龍口。茶葉は「雲南紅茶」です。このときは1日ぐらいでした。もっと浸けても良いですね。後味にほのかな紅茶の香りが感じられます。でも、みなさんにとっては、やっぱり白酒だったようです。。。

お菓子紹介『くるみの飴がらみ』

くるみを湯がいて砂糖をまぶし、高温で揚げたお菓子です。中華では定番ですね。僕が作りましたが久しぶりだったので焦がしやしないかドキドキでした。。。うまくいきまして、商品化のご要望までいただきました(笑)

 

 

以上で終了です。いつものように言っておりますが、中華は、料理は普及しているのに、酒はまだまだです。流通している銘柄に限りがあり、提供側が諦めてしまっているのが現状です。

まだほじりきれていないのに、本当にもったいないことだと思います。僕はこれからもどんどんほじり倒していきたいと思います。

ペアリングは僕がまだまだ能力が低いので、松島さんに多大なるご協力をいただきました。感謝、感謝です。そして、こんな時期なのにも関わらずお集まりいただいた皆様には、一生頭を下げ続けます(笑)ありがとうございました!!!

※当日の写真はご参加の方からのいただきものです。ゆいかわさん、はせがわさん、ありがとうございました!