干杯!
中国酒探究家のdonです。
「紹興酒にはザラメでしょ!」
「ザラメ入れるって身体に悪いのでは?」
昔から日本にある紹興酒の楽しみ方としてザラメを入れる方法があります。
このザラメ紹興酒は好きな人もいれば、反対の方もいます。
今回はそんなザラメ紹興酒についてまとめてみました。
- ザラメ紹興酒の始まり
- 現地中国のザラメ紹興酒事情
- 元中国酒専門店長としての見解
- ザラメ紹興酒の正しい入れ方
- ザラメ紹興酒好きにおすすめ銘柄3選
紹興酒の飲み方全般について知りたい方は、こちらに詳しくまとめておりますのでご参考ください。
▼YouTubeにもアップしました!ラジオ感覚でお楽しみください。
執筆者紹介 don(門倉郷史)
日本初の中国酒ガイドブック「黄酒入門」著者。赤坂・六本木・銀座にある中国郷土料理店で約9年勤務し、黄酒専門店責任者も兼任。2020年に独立し現在は黄酒専門WEB「八-Hachi-」やYouTubeなどで中国酒情報を発信中。代々木上原の中華料理店にも在籍。
Contents
ザラメ紹興酒とは?
日本では紹興酒にザラメを入れるという飲み方が根付いています。
しかし、紹興酒にザラメを入れる飲み方に反対派もいて「現地ではそんな飲み方はしない!」という意見もあります。
果たして紹興酒にザラメを入れるのはアリなのでしょうか?ナシなのでしょうか?
ザラメ紹興酒誕生のきっかけ
ちなみにザラメを入れる飲み方の由来をめぐっては、いろいろな説があります。
大きくまとめると下記の2つに集約されます。
- かつて紹興など中国で「このお酒が口に合わないときは入れてください」という意味で添えられていた
- 日本に最初に広まった台湾紹興酒の味は苦味や渋味が強く、それを緩和するためにザラメを使用し始めた
ただ、これらの説は根拠がありません。
どの説も「誰かから聞いた話」なのです。というわけで、真相は闇の中。
※以下、2022年4月追記
先日、紹興酒ペアリングの会に参加した際に、発酵の大先生である小泉武夫先生がザラメ紹興酒についてお話されていました。
「紹興酒にザラメを入れた始まりは、大正8年。当時はザラメは高級なものとして食べたり使ったりできることがひとつのステータスだった。
中華レストランで●●(誰かは聞き取れず・・・)が、当時の紹興酒を飲んだときに「ザラメを持ってきて」と言った。
それが紹興酒にザラメを入れるようになった始まりで・・・」
現地紹興市ではザラメを入れるのか?
紹興酒の産地である中国では、紹興酒にザラメを入れて飲まれているのでしょうか?
実際に紹興で紹興酒を飲んだとき、ザラメを出されたことはありません。聞かれたこともありません。
現地では紹興酒を注文すると、ボトルとグラスだけドン!と黙って出されることが多かったです。
また、これまで出会った中国の方たちからは「ザラメを入れるのは日本流だよ!」という意見が多くありました。
しかし、逆の声もありました。
「中国では紅糖(黒糖)を入れる」
「中国本場でもザラメ入れたりして楽しんでるよ」
以上を踏まえると、ザラメ紹興酒は一般的ではないにしても、変わった飲み方として親しんでいる人もいる、ということでしょうか。
酒をさまざまな飲み方で楽しむのは、万国共通なのかもしれません。
紹興酒にザラメを入れる理由とは?
次に紹興酒にザラメを入れる理由を考えてみましょう。
これはシンプルに「飲みやすくするため」だと考えられます。
しかし、日本酒やワイン、ビールなどでザラメを入れる飲み方は聞いたことがありません。
なぜ紹興酒にザラメを入れると飲みやすくなるのか?
それは、紹興酒の独特な酸味が要因と考えられます。
紹興酒は、他の酒にはない個性的な酸味が特徴のひとつです。
この独特な酸味になる要因はいくつか考えられますが、ひとつは紹興酒には乳酸が多く含まれているということ。
紹興酒は、発酵前の浸漬(米を水に漬ける)を長く行い、水を乳酸発酵させ、その水を仕込みに用います。
そのため、乳酸の香りが強く、漬物のような発酵臭が強く感じられます。
「紹興酒のツンとくる独特な風味がキツイ」という人は、日本では少なくありません。
なので、ザラメを入れることでその尖りがまろやかになり、飲みやすい味わいになるのです。
ザラメ紹興酒の良い点・悪い点
ザラメ紹興酒の良い点と悪い点をまとめてみました。
ザラメ紹興酒の良い点
- 紹興酒が苦手な人でも飲みやすくなる
ザラメ紹興酒の悪い点
- 糖質が増える
- 溶かす手間が面倒
紹興酒は元々カロリーの高い酒として知られています。そこへさらにザラメを入れればハイカロリーな酒となります。
価値観が変わる!酒蔵スタッフが語る”酒の楽しみ方”
紹興酒に添加物を入れて、味を変えてまで楽しむことに反対する人は少なくありません。そう考える気持ちもわかります。
しかし僕は以前、以下のような出来事があり、ザラメを入れる飲み方もアリだなと思うようになりました。
それは、神奈川県某所にある酒蔵へ見学に行ったときのことです。
工場で紹介をしてくれていた蔵の社員さんが、こんなことを話してくれました。
「昨晩は日本酒をソーダ割りにしてみました。」
この話を聞いて、正直僕は驚きました。
造り手側の方々もさまざまな飲み方で楽しんでいるという事実。
ザラメ紹興酒の正しい作り方を紹介!
ザラメ紹興酒の正しい作り方を紹介します。
- 紹興酒を温める
- ザラメを入れる
- 溶かす
意外と常温のままザラメを入れる方もいるのではないでしょうか?
常温でザラメを混ぜようとすると溶けづらく、ぐるぐる混ぜ続けなければならず、時間と手間がかかります。
なので、ザラメを入れるときには紹興酒を熱燗にしましょう。
ザラメを入れずに紹興酒を燗にするときは人肌(37〜8度)ぐらいがちょうどよいのですが、ザラメを入れるときはかなり熱めでも良いです。
熱くすると紹興酒の酸が際立ちます。しかし、ザラメを入れることで味はまろやかになりますし、熱い方がザラメが溶けやすくて混ぜるのが楽になります。
しっかりザラメが溶けたら、おいしくいただきましょう。
ザラメ紹興酒好きにおすすめ!厳選紹興酒銘柄3選
最後に。
ザラメ紹興酒好きな方にひとつ質問があります。
・・・ですよね?(笑)
実際にザラメ入らずの紹興酒は存在します。
というわけでザラメ入り紹興酒が好きな人におすすめの銘柄を3種、選んでみました!
おすすめ銘柄①「玉酔美液」(ユーズイ)
この紹興酒は、善醸酒といって、仕込みの水に紹興酒を使用するため濃醇とコクのある味わいが特徴です。
通常の紹興酒よりも甘口ですが、完熟した蜜柑を食べているかのような爽やかさがあって非常に呑みやすい!
ただ、上野の地下中華街でしか入手できないのです・・・惜しい・・・。
おすすめ銘柄②「東方特雕」(ドンファン)
この紹興酒は不思議なことにフルーティな風味があり、すっきりと爽やかで抜群の飲みやすさ!すっと口の中を通り過ぎながら、しっかりとした甘旨が口の中に心地よく残ります。
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おすすめ銘柄③『沉缸酒 缸缸好型』(チェンガンジョウ ガンガンハオ)
これは紹興酒ではないのですが、ザラメ紹興酒好きにぜひおすすめしたいのでピックアップしました。
沉缸酒は福建省の伝統的な黄酒ブランドです。さまざまなタイプがありますが「缸缸好型」はその現代版。
紅麹を使用する南方黄酒の代表的な存在です。さらに漢方薬剤を数種加えた秘伝の“薬麹”も使用。
どこか親しみのあるふくよかで優しい甘味。それでいて後味がスッキリ。“甘い”のひと言で終わらせられない多彩な香りと味わいが楽しめます。ボトルごと冷やして冷酒として楽しみたい黄酒です。
▼こちらで購入できます!
※現在完売中のようです。入荷次第アップします。
【結論】ザラメ紹興酒についてまとめ
いかがでしたでしょうか。ザラメ紹興酒について理解が深まりましたか?
紹興酒の飲みやすさを優先するか、酒自体を楽しむか、人によってのスタンスや、その場の状況次第でもザラメ投入の是非は変わってくるでしょう。
個人的には上記でおすすめした紹興酒を購入しているので、ザラメは入れたことがありません。無くても十分に美味しい!
結論。
紹興酒っていろいろな楽しみ方があっていいですね!(笑)