干杯（ガンベイ）！中国酒探究家のdonです。
僕のnoteを読んでくださっている方なら、「黄酒（ファンジョウ）」という言葉には少しずつ馴染んできたかもしれません。
でも、こんな疑問を持ったことはありませんか？
「黄酒と紹興酒って、結局どう違うの？」
なんとなくイメージはあるけど、人に説明しようとすると意外と難しい。そんな声をたくさん聞いてきました。
この違いをしっかり理解しておくと、中国酒の楽しみ方が一気に広がります。
今回は、「黄酒」と「紹興酒」の違いについて、スッキリわかりやすく解説します！
Contents
黄酒とは？ 〜中国で最も歴史ある醸造酒〜
黄酒は、米などの穀物を原料にした中国の伝統的な醸造酒です。
アルコール度数は12〜18度ほどで、日本酒と同じ「並行複発酵」という製法でつくられるため、親戚同士のような関係性です。
けれどその特徴は、日本酒とはまた違った個性があります。
「黄酒」の“黄”は、“黄金色（琥珀色）”の“黄”。熟成によって深い色合いを帯び、豊かなアミノ酸を含むことが特徴です。
まろやかで旨味、そして酸味のある味わいは、料理との相性も抜群！
とはいえ、「黄色だから黄酒」というわけではなく、透明に近いものや紫、黒などもあります。つまり「黄酒＝色が黄」とは限らない、ということもポイントです。
紹興酒とは？ 〜最も有名な黄酒〜
では、「紹興酒」はどう位置づけられるのでしょうか？
結論から言うと、”紹興酒は黄酒の中のひとつ”です。中でも圧倒的な知名度を誇り、「中国酒＝紹興酒」と思われているほど。
でも実は、紹興酒と名乗るためには厳格な条件があるんです。
例えば：
- 浙江省紹興市で製造されていること
- 糯米・麦曲を使用すること（しかも一定以上の品質）
- 鉴湖（かんこ）の水を用いること
- 添加物はカラメルのみ許可されること
など
つまり、たとえ紹興市で作ったお酒でも、これらの基準を満たしていなければ「紹興酒」とは名乗れないのです。
では紹興酒以外の黄酒は何と呼ばれるのか？
敢えて表現するならば「紹興産の黄酒」ですね。・・・ややこしいですよね。
でもこの違いを知ると、中国酒の奥深さが見えてきます。
黄酒と紹興酒の違いは「階層」
このふたつの違いは、一言でいえば「階層」です。
- 黄酒＝カテゴリ名（日本酒やワインにあたるもの）
- 紹興酒＝黄酒の一種／地域名（シャンパンのようなもの）
他のお酒に例えると、こんな感じです。
- シャンパン＝シャンパーニュ地方のスパークリングワイン
- テキーラ＝特定の地域・製法で作られたメスカルの一種
- 日本酒＝清酒の中でも日本国内で規定を満たしたもの
紹興酒も、中国における地理的表示保護制度（GI）に基づき保護されています。
現在、黄酒の中で国際的に知られているのは紹興酒だけですが、実は他にも多くの「地元に根ざした黄酒」が存在しているんです。
実は、知られていない黄酒がたくさんある！
僕が本当に伝えたいのはここです。
「紹興酒＝黄酒のすべて」ではありません。
中国には、紹興酒以外にも多彩な黄酒が存在しています。産地によって味わいや製法が異なり、それぞれに個性があります。
紹興の古民家レストラン「红尘再」
紹興酒だけをととってみても、実は多くの銘柄があり、熟成年数やタイプによって味も全く違うんです。
たとえば：
軽やかでスッキリしているもの
独特な製法によってコクが濃いもの
デザートワインのように甘く濃厚な味わい
タイプによって名称も異なります。
▼紹興酒の種類についてもっと詳しく知りたい方はこちらもご参考ください
今までは日本の中華料理店でも「紹興酒グラス」「紹興酒8年」といったざっくりした表記が多かったのですが、最近では銘柄を明記したり、異なるタイプを飲み比べできるお店も増えています。
さらに、紹興酒以外の黄酒も少しずつ日本に輸入され始めています。今までと違った様相を呈してきているのです。これからが楽しみ！
おわりに | 黄酒を知ると、紹興酒の奥深さがもっと見える
「紹興酒」とひとくくりにしていた中国酒の世界。その奥には、まだまだ知られていない黄酒の世界が広がっています。
ぜひ、次に飲む一杯はこう問いかけてみてください。
「これはどんな産地の黄酒なんだろう？」「紹興酒でも、どのタイプなんだろう？」
きっと、”一歩深い楽しさ”が待っているはず。
そして、もしもっと深く知りたいと思ったら
- 黄酒の基礎から応用まで学べる「黄酒入門講座」
- 拙著『黄酒入門』（Amazonで販売中）
どちらも、黄酒の世界をもっと楽しむためのガイドになりますのでご活用ください。
「知れば知るほど美味しくなる」——それが、黄酒の魅力です。
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中国酒の魅力、これからも一緒に深掘りしていきましょう。
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