紹興酒入門

【入門編】紹興酒とは?黄酒との違いって?黄酒専門家が徹底解説!

紹興酒の正しい情報は、とても少ないのが現状です。WEB上にも当たり前のように根拠のない間違った情報が散乱しています。

僕は紹興酒とはどんなお酒なのかを、しっかりと正確な情報・知識としてまとめていきたいと思っています。

この記事は、紹興酒について随時更新していく進化型記事です。

情報源は、中国酒についての書籍(日本、中国の文献)や、中国酒蔵からの情報、また私自身が現地で得た情報です。

できるだけ正確な知識や情報を得ていき、随時更新・改訂していきます。

もし不足している部分があれば、遠慮なくコメントを頂けたら幸いです。

執筆者紹介 don
中華郷土料理店に9年勤務、黄酒専門店運営4年の経験があり、紹興酒の産地で酒蔵へ訪問したり、中国酒関連の書籍を読み情報を収集。中国酒専門blog「八-Hachi-」やYouTube「毎天干杯!」で中国酒情報を発信している。

そもそも紹興酒とはどんなお酒?

紹興酒とは?の解説をします。

中華料理店でお馴染みの紹興酒。「中華を食べに行ったら飲む!」という方はいても、「どんなお酒なの?」という質問に、はっきりと回答できる人は少ないのではないでしょうか?

ここでは、紹興酒の定義や原料など基礎的なことについて紹介していきます。

【定義】浙江省紹興市産かつ国家基準を満たしたお酒

紹興酒とは、簡単に言えば紹興市産の醸造酒(※1)です。

紹興酒の原料や製法は、国によって定められた基準があります。それをクリアしなければ紹興酒としては認められません。

どのような定義があるかというと、下記の通りです。

(※1)「醸造酒(じょうぞうしゅ)」とは、日本酒やワイン、ビールなど、穀物やブドウなどの原料を発酵させて作るお酒

要注意!「紹興市で造られているから紹興酒」は間違い!

紹興酒の産地「紹興市」の風景写真です実際に訪問したときに撮影した紹興の風景

紹興酒の産地とは、「紹興市」です。

紹興市の場所ですが、上海の南西に「浙江省(せっこうしょう)」という省があります。浙江省の中では北部に”東洋のベネチア”と呼ばれている水源豊かな「紹興市」があります。上海からは新幹線で1時間強で着きます。

紹興市こそが、まさに紹興酒が誕生した場所です。しかし、ここでよく勘違いされてしまうのですが、「紹興で作っている醸造酒=紹興酒」ではありません。

紹興市で造っている黄酒でも、紹興酒と名乗ることができないお酒がある、ということです。

本物の紹興酒には正式なシールが貼られている

国が認めた正式な紹興酒には、下の写真のようなシールが箱やボトルのどこかに貼られています。

正式な紹興酒を証明する中国の地理的表示のマークです。

このシールが貼られていないものは、紹興産だとしても、紹興酒と呼ぶことはできません。それはまさに、シャンパーニュ地方の「シャンパン」や、テキーラ地方のメスカル「テキーラ」と同じような考え方です(原産地呼称)。

原産地呼称について、さらに詳しいことは下記の記事で解説しているので、良かったらご参考にどうぞ!

シャンパンやテキーラと一緒!?"原産地名称"の世界のお酒と紹興酒について。紹興酒はGI(地理的表示保護制度)によって認められた地域ブランドです。紹興酒のようにGIによって認められているお酒はシャンパンやボルドーなど他ジャンルにもたくさんあります。知っているお酒たちと紹興酒も同じなのか、と思うとより身近に感じて頂けるはずです。...

紹興産だから紹興酒、としてしまうと、基準に満たないものも紹興酒として認めることになります。紹興酒は、さまざまな基準をクリアしたブランド酒なのだということは、しっかりと認識していただきたいところです。

【原料・作り方】紹興酒と日本酒は似ている!?

【原料・作り方】紹興酒と日本酒は似ている!?

さて、そんな紹興酒とは、どんな原料からできているのでしょうか?

紹興酒は、私たちの身近にある日本酒と同じ米のお酒で、さらに水や麹、酵母を使用します。

ただ、細かい点で異なる部分があります。ここでは、紹興酒の原料と、製法について紹介していきます。

紹興酒の原料とは?

紹興酒の原料とは?

紹興酒の主な原料は、もち米、麦曲、鉴湖(かんこ)の水です。また、着色のために、カラメルも使用します。

「曲(きょく)」というのは、日本でいえば麹(こうじ)です。お米の酒造りには必需品と言えるでしょう。(※2)

水は、酒造りに最も適していると言われている鉴湖(かんこ)という湖の水を使用しなければなりません。鉴湖はかつては一つの大きな湖を指していましたが、今は会稽山から注ぐ35の水流の総称です。

これらの原料は、使用するための等級の基準がしっかり定められています。

より詳しく知りたい方は、こちらに紹興酒の原料についてまとめているので良かったら参考にしてみてください。

紹興酒の原料を解説した記事のアイキャッチ 画像です。
【入門編】紹興酒の原料を黄酒専門家がどこよりも徹底解説!紹興酒が何からできているかご存知ですか?あまり知られていない紹興酒の原料について解説します。水や米、麹を用いる紹興酒は日本酒のルーツという説もあります。原料について知ることで紹興酒がより身近に感じられるはずです。...

(※2)もち米をお酒にするためには、糖分が足りないため、麹を使って糖分を生み出していく必要があります。麹は、お米のでん粉をグルコース(糖分)に変えていきます。その後、酵母がその糖をアルコールに変換させていくのです。お米から造るお酒にとって、麹や酵母は無くてはならない存在なのです。

紹興酒の作り方とは?

紹興酒の作り方とは?

紹興酒の製造の流れを簡単に解説すると、下記のようになります。

紹興市を流れる36の水脈の総称「鉴湖(かんこ)」の水で仕込み、原料のもち米を麦麹で糖化発酵し、甕やタンクで醸造。発酵期間は3ヶ月以上ととても長く、搾ったあともさらに熟成させていくため非常に手の込んだお酒であると言えます。

日本酒とは原料など細かな部分での違いはありますが、それぞれ並行複発酵で造られる、世界的にも珍しいアジアを代表する醸造酒なのです。

より詳しい製造の流れは、今後まとめていきます。

【歴史】現代紹興酒のルーツは約1000年前に完成したもの

【歴史】現代紹興酒のルーツは約1000年前に完成したもの

紹興酒の誕生を遡ると、今から約2400年程前の春秋戦国時代を記した書物「呂氏春秋」の記載に辿り着きます。

そこには、越王である勾践(こうせん)が住む会稽(かいけい※現在の紹興)にて川から酒を流し、それを飲んで兵士たちが鼓舞した、というような表記があります。

日本でいえばまだ縄文時代にあたるこの時期。既に飲用のお酒があったことだけでも、驚くべき文化の発達スピードです。

ただ、今の紹興酒の原型ともいえるお酒は、紹興で酒造りが最も隆盛した南宋時代のものです。

南宋時代は、今から約1000年ほど前です。現代の紹興酒は、この頃の製法で造られているようです。

紹興酒の歴史についてまとめ
  • 紹興酒の歴史は2400年前の「呂氏春秋」から始まる
  • 今の紹興酒は約1000年前の南宋時代に生み出されたお酒が原型

 

【豆知識】あまり知られていない紹興酒トリビア

【豆知識】あまり知られていない紹興酒トリビア

ここでは、紹興酒に関してあまり知られていない素朴な疑問を二点ピックアップしてみました。

紹興酒は、なぜ褐色なのか?

紹興酒と日本酒は同じお米を使い、同じような製法なのに、どうして色や味がこんなに違うのでしょうか?

ヒントは、アミノ酸の量にあります。

紹興酒は、アミノ酸が日本酒の数倍以上も含まれていると言われています。原料に使うもち米は、うるち米よりもたんぱく質が豊富です。たんぱく質はアミノ酸に変わっていくので、紹興酒はアミノ酸が豊富なのです。

アミノ酸が多いとどうなるかというと、発酵や熟成の過程で、糖分と化学反応を起こし、メラノイジンという褐色物質が作られていくのです。(これをメイラード反応といいます)

また、甕で熟成させるため、鉄分が溶け出して、より褐色になっていくとも言われています。

紹興酒は、なぜ褐色なのか?

カラメルも着色のため使用されます。なぜここまで褐色にするのかは謎ですが、個人的な予測としては、色をつけることによって視界的にも楽しく見せたり、美味しく感じさせたりする作用を狙っているんじゃないかなと思っています。

【まとめ】紹興酒が褐色の理由
  • アミノ酸が豊富で、メイラード反応がより促進する
  • 甕熟成で鉄分が溶け出していく
  • カラメルの使用

紹興酒はウイスキーのようにブレンドをして完成するお酒

紹興酒は、日本酒でいえば古酒にあたる熟成酒です。日本で流通しているものは3年物以上。その年数については、ブレンド後のものであることは、あまり知られていません。

10年物であれば、10年物を主のお酒として規定の割合(50%)以上を使用。残りの配合の割合は、平均値が10年になるよう、各酒蔵の独自の算出法によって決められます。

このブレンドは、紹興酒の味を決める重要なひとつの工程になっています。

紹興酒はウイスキーのようにブレンドをして完成するお酒

「ブレンドしてるなんて邪道だ!」と思われる方もいるかもしれません。ただ、ブレンドしているお酒といえば、ウイスキーが最たるものでしょう。

日本酒の古酒も、紹興酒同様のブレンドをします。お酒造りにおいて、ブレンドは、認められた手法のひとつといえるでしょう。

おすすめの飲み方や料理とは?紹興酒を楽しもう!

そろそろ、紹興酒を飲んでみたくなってきたのではないでしょうか?(笑)

ここでは、紹興酒を楽しもう!ということで、おすすめの購入場所や、飲み方、おつまみについてまとめました。

紹興酒ってどこで買える?

紹興酒の購入場所として一番手軽なのは、Amazonや楽天などインターネット通販サイトです。

ただ、個人的には、中華食材店での購入がおすすめです。特に、上野のアメ横には巨大な中華食材店があります。そのお店は、中国酒の品揃えが良く、たまに見たことがない紹興酒を置いたりするので、よく見に行っています。池袋にも中華食材店がいくつかあります。

最も身近なスーパーやコンビニは、紹興酒をほとんど置いていません。あっても1種。2種以上あれば「品揃えがいいな」と感じるぐらいです。ちょっと寂しいのですが・・・。

紹興酒購入におすすめの場所
  1. 新大久保や上野にあるような中華食材店
  2. インターネット
  3. 酒販店
  4. スーパー・コンビニ

常温がいい?ザラメ入れる?紹興酒のおすすめな飲み方

常温がいい?ザラメ入れる?紹興酒のおすすめな飲み方

おすすめの飲み方は、その紹興酒の特徴によって変わります。紹興酒も他のお酒同様、銘柄によって味が異なりますので、年数で括って「10年以上は常温」などという提案をここではしません。10年でも尖った味わいの銘柄はあるはずです。

なので、まずは常温で呑んでみること。酸味や苦味が強すぎてキツいようなら、熱燗や冷酒にしてみたり、ボテっとして重いなと感じたら、ロックや炭酸割にしてみると良いでしょう。これは主観でOKです。ふくよかな甘口タイプなら、常温、ロック、冷酒、燗、炭酸割りと幅広く楽しめると思います。

紹興酒は、日本酒やワインなどに比べて、幅広い飲み方で楽しまれているお酒です。どのような飲み方があるのか、一般的な方法を一覧にしました。ぜひ参考にしてみてください。

①常温 最もオーソドックスな飲み方。紹興酒本来の味が楽しめる。
②燗 湯煎やレンジなどでボトルや徳利を温めて飲む方法です。紹興酒は酸味が強いお酒なので温めすぎないようにするのがおすすめです。
③冷酒 冷蔵庫でボトルごと冷やすと、渋味や酸味がシャープになり、銘柄によっては非常に飲みやすくなります。
④ロック 常温の紹興酒に氷を入れて楽しむ飲み方です。飲み口が柔らかくなりますが、味が薄まってしまうのが難点です。
⑤加える(干し梅や生姜など) 常温の紹興酒に干し梅を入れたり、レモンスライスを入れる飲み方もあります。ザラメを入れるときは燗にして混ぜるようにして溶かしていくのが一般的です。
⑥割る チューハイの焼酎のように紹興酒を活用する飲み方です。ソーダやジンジャエール、コーラなど割るドリンクによってさまざまな味わいが楽しめます。

紹興酒の飲み方についてより詳しく知りたい方は、こちらをご参考ください。

【中国酒専門】紹興酒のいろいろな飲み方とおすすめの楽しみ方
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紹興酒にぴったり!おすすめのおつまみ・料理

紹興酒にぴったり!おすすめのおつまみ・料理

「紹興酒を飲んでみたいけど、何に合わせていいのかわからない」という方は少なくありません。

個人的に、紹興酒にはこんな料理が合うと思います。わかりやすく表にしてみました。

肉料理全般 私たちに身近な焼き肉、焼鳥、すき焼き、角煮やチャーシューなども紹興酒と合います。パンチェッタもいいですよ!鴨や羊、ヤギなどやや個性のあるお肉を使った料理も良いですね。
発酵食品・料理 チーズや腐乳(中国の発酵豆腐)などの発酵食品も、立派な紹興酒のおつまみになります。
スパイス料理 最近流行のスパイス料理。香辛料の味や香りと紹興酒の多彩な風味は、他ジャンルにはないマリアージュを生みます。
和食 意外と思われるかもしれませんが、和食にも紹興酒とピッタリな料理があります。肉じゃがやおでんなど、ふくよかな味わいだったり、出汁がしっかり利いた料理だと、紹興酒とうまく混じり合って、良い晩酌のひとときが過ごせるでしょう。
定番!中華料理 麻婆豆腐、餃子、エビチリなど日本でお馴染みの中華料理は、紹興酒との相性もぴったりだと思います。シュワっとしたくなったときは、炭酸で割ってハイボールにするのもよいですね!

 

初心者におすすめ!厳選紹興酒3選

紹興酒を飲んだことがない、という方におすすめのブランドを紹介します。

入り口で失敗すると、ずっとそのお酒の印象って悪くなってしまいまよね。紹興酒や白酒って、そういうケースが少なくないんじゃないかなって思います。

中華料理店での勤務や、中国酒専門店での経験を生かして、初心者向けの銘柄をピックアップしましたので、ぜひご参考ください!

おすすめ紹興酒銘柄❶「東方特雕」(ドンファン)

おすすめ紹興酒銘柄❶「東方特雕」(ドンファン)

一般的な紹興酒とは一線を画す味わい。フルーティで雑味がありません。すっと口に入って広がる酸味。甘味や旨味がその酸をいい具合にサポートしています。

渋味や苦味がほのかにあるところが、またいいんですよね!

個人的には12年が一番おすすめですが、8年、10年でも十分美味しいです!価格も俄然安いので、日頃飲むようなら、8年か10年をおすすめします。

おすすめ紹興酒銘柄❷「玉酔美液」(ユーズイ)

おすすめ紹興酒銘柄❷「玉酔美液」(ユーズイ)

個人的には、初めての方には、これが一番おすすめです。常温良し、ロックも良し、冷やしても良し、ソーダ割も良し!

蜜のような甘口タイプですが、しつこくなくて、軽やか。「紹興酒ってキツイ味」と思っている方は、特に衝撃的だと思います。とにかく飲みやすい!

これは、「善醸酒」(ぜんじょうしゅ)というタイプの紹興酒です。仕込み水に紹興酒を使うことで濃厚な味わいになります。

ネックは、あまり見かけない、ということですね。たまに、上野の地下中華街にあります。

紹興酒や白酒の品揃えが豊富な上野駅にあるアメ横の中華食材店のアイキャッチ画像です。
白酒や紹興酒など中国酒のショッピングができる場所を紹介!<中華の街「上野アメ横」編>コンビニやスーパーであまり入手できない中国酒が手軽に手に入る場所を紹介します。今回は上野駅にあるアメ横の地下食品街です。紹興酒などの黄酒や白酒の品揃えが豊富なお店があります。...

おすすめ紹興酒銘柄❸「三国演義10年」

おすすめ紹興酒銘柄❸「三国演義10年」

これはご存知の方が多いかもしれませんね。取り扱っている中華料理店が多々あるからです。

三国志の武将をラベルに描き、その印象と味わいをリンクさせているのが面白い!味わいも、軽やかな酸味と優しい甘旨が良い感じで飲みやすいです。