紹興酒入門

【入門編】紹興酒の原料を黄酒専門家がどこよりも徹底解説!

紹興酒の原料を解説した記事のアイキャッチ 画像です。

紹興酒の特徴のひとつとして、酒色が挙げられます。日本酒と似た製法なのに、褐色です。

そもそも、紹興酒は一体どのような原料から造られているのでしょうか?

結論から言えば、「米・水・麹」です。ただ、米といっても、うるち米ともち米がありますし、水も水道水、山の天然水、湖の水、などさまざまです。

ここでは、紹興酒の原料について、詳しく解説していきます。日本ではあまり触れられていない部分も、中国の文献などを参考にして、紹介していきます。

紹興酒の原料は「米・水・麹」以外にもいろいろある!

紹興酒の最も基本的な原料は、日本酒同様に「水」です。紹興酒はお米の醸造酒、厳密には「もち米」を使用します。そして、もち米を発酵させるためには「麹(こうじ)」が必要です。

使用する原料は、国家基準で規定された上質のものを使用しなければなりません。

それぞれの原料について、より詳しく見ていきましょう。

『鉴湖の水』紹興酒の最も基本となる原料

紹興酒の原料となる水のイメージ写真です。

酒の最もベースとなる原料は、水です。紹興酒は「鉴湖(かんこ)」という湖の水で仕込みをします。

紹興酒の産地である浙江省紹興市は「東洋のベニス」とも言われる水源豊かな都市です。

その中にある鉴湖は、会稽山脈を水源とした36の水流の総称です。紹興酒は、鉴湖から採れる上質な水を用いなければならないと国の基準で定められています。

鉴湖の水は硬度が適度に低く、まろやかな酒を造るのに最適です。紹興は雨量の多いエリアで、水の回転率もよく、澄んだ水が得られると言われています。

発酵を盛んにするといわれているミネラルも豊富です。紹興酒のふくよかで多彩な味わいの源ともいえるでしょう。

鉴湖は今は一つの特定の場所ではなく、数多くの渓流も含めた総称として認められているようです。

紹興酒の原料「水」についてまとめ
  • 水は鉴湖の水を使用しなければならない。
  • 鉴湖の水は、硬度やミネラルの観点から紹興酒に最も適した水質

『もち米』紹興酒を製造する年に収穫した上質なもの

紹興酒の原料となるもち米のイメージ写真です。

お米は、「うるち米」と「もち米」に分類ができます。

日本酒はうるち米から作られるのに対して、紹興酒は、もち米から作られています。その年の新米が用いられます。

うるち米と、もち米の違いは、粘度です。お米のモチモチとした感じの元は「アミロペクチン」です。うるち米はアミロペクチン以外に「アミロース」が20%含まれているのに対し、もち米はアミロースは含まれず、アミロペクチンからできています。なのでとても粘度が高いのです。

もち米の産地については、全て紹興原産のものかというとそうではありません。近隣の省からも仕入れて使用しています。規定された国家基準の等級を超え、粘性が強いものが使用されているようです。

最近の傾向としてはオーガニック(有機栽培)で作られた糯米を使用している紹興酒も出てきています。原料の改良が発展していくと新しい紹興酒が生まれていくことでしょう。非常に楽しみな動きです。

紹興酒の原料「もち米」についてまとめ
  • 紹興酒は粘度の高いもち米を原料として使用する
  • 産地は、近隣のもので粘性が強いものを選定

『麦曲』アジアでは一般的な麹を原料に使用

紹興酒の原料となる麦曲(麹)の写真です。

中国の麹は「曲(きょく)」といいます。

日本酒の麹はお米から作りますが、紹興酒は麦から作られます。麦曲は紹興市以外の他地方で造られる黄酒でも、よく使われている一般的な麹です。

繁殖しているのはクモノスカビや毛カビで、実はアジアでは一般的な存在です。米麹の黄麹菌が米の外側に生えていくのに対して、麦の中へと菌糸を伸ばし、まるでレンガのように硬くなっていくのが特徴です。

製法は下記の通りです。

/////麦曲の作り方/////

  1. 小麦を砕いて水を投入。かき混ぜる
  2. 長方形の木枠で踏むなどして固める
  3. 成形したものを稲のわらで包む
  4. 麹室で約1ヶ月ほど発酵させて完成
紹興酒の原料「麹」のまとめ
  • 中国では麹を「曲」という
  • 紹興酒は、麦を原料とした「麦曲」を使用
  • アジアでは一般的な麹

『漿水(しょうすい)』仕込み水は日本酒のそやし水

紹興酒の原料である、もち米は、蒸す前に水に浸します(浸漬・浸水)。水分を含ませて蒸しやすくするためです。

そのときに、もち米を長時間漬けることで、乳酸発酵をさせます。その水は「漿水(しょうすい)」といって、仕込み水として使用します。

漿水(しょうすい)を使用する目的は2つあります。

・醪(酒母)の腐敗防止
・酵母の増殖促進

実はこの製法、以前は日本酒でも一般的に採用されていました。「そやし水」といいます。今、日本酒の多くは乳酸は添加されることがほとんどですが、かつては紹興酒同様に自然の力を借りて乳酸菌を育んでいたのです。

紹興酒の原料「漿水」のまとめ
  • もち米を長時間浸漬させ、乳酸発酵させた水を漿水という
  • 漿水を使用することで、防菌効果、酵母の活動促進を図っている

『酒薬(しゅやく)』あまり知られていない紹興酒の原料

紹興酒の原料となる糖化発酵剤「酒薬」の写真です。

酒薬(しゅやく)とは紹興酒造りにおいて非常に重要な役割を果たす糖化発酵剤です。別名で、白薬、小曲、酒餅、とも言います。

紹興酒の醪(もろみ)ともいえる「淋飯酒(りんぱんしゅ)」の発酵に使用します。一次発酵で活躍する麹でもあり、酵母でもあるという、特殊な役割をもちます。

かつては白・黒の2種類が存在しましたが、今は白薬が主に利用されているようです。

酒薬の製法は下記の通りです。

  1. うるち米とヤナギ蓼の粉末水で混ぜて練り、平たい餅状にする
  2. 古い酒薬の粉末をまぶして、麹室で約4週間寝かせる
  3. クモノスカビ、毛カビ、その地にいる酵母菌が繁殖
  4. 完成
紹興酒の原料「酒薬」のまとめ
  • 酒薬とはお米とヤナギ蓼で作り、麹と酵母の役割を果たす
  • 主に淋飯酒の製造で使われる

『カラメル』紹興酒醸造で唯一許されている添加物原料

紹興酒が好きな人なら、カラメルの存在について不思議に思っている方は少なくないのではないでしょうか?

あまり語られることのないカラメル。これも原料として、立派な役割があります。

紹興酒の規定では添加物は一切認められていませんが、「カラメルを添加してもよい」とされています。

これは味付けというよりは色味付の意味合いが強いようです。

ただ、着色のためとはいえ少なくとも味にも影響はあるように感じます。これは個人的な感想ですが色味が濃すぎるものって、のっぺりとした味わいのものが多いです。おそらくカラメルを大量に使用しているのではないかと感じてしまいます。

最近ではカラメル無添加のものも現地では出てきています。カラメルを使用するかどうかという論争が、紹興酒を大きく生まれ変わらせるきっかけのひとつになるのではないかと思っています。

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紹興酒の原料「カラメル」のまとめ
  • カラメルは基本的に、着色のために使用される
  • 味への影響もゼロではない(個人的な意見)

さまざまな原料を用いる紹興酒の仲間たち!個性的な黄酒3種を紹介!

紹興酒をはじめとする「黄酒(ファンジョウ)」は、穀物を原料とした中国の醸造酒です。

紹興酒は、もち米で造られますが、他エリアの黄酒は、もち米以外の穀物も使用されます。

原料が変われば、味も当然変わります。日本はおろか、中国でも地元の酒として地元民に親しまれているため、あまり流通しておらず、他エリアではほとんど認知もされていません。

中国には面白い地酒がたくさんあります!ここでは、3種のおすすめ黄酒を掲載します。

即墨老酒 焦香型(通称:ジーモウ)【山東省青島】

中国ビールといえば、青島ビール!産地の青島は、ビールだけでなく、この「即墨老酒」も歴史ある黄酒として知られています。

即墨老酒の特徴は、原料である黍(きび)を、発酵させる前にドロドロの粘状になるまで大鍋で熱入れすることです。そのときの焦げた香りがお酒の味としてダイレクトに楽しむことができます。

ここまでスモーキーフレイバーが感じられる醸造酒は他にはありません。世界的に見ても、唯一無二の醸造酒と言えます。

孔乙己12年(通称:コンイージー)【浙江省紹興産】

「黄中皇(ファンジョンファン)」など、歴史ある紹興酒ブランドを輩出している中粮酒業のもう一つの代表ブランド。

紹興産でありながら、日本酒同様に「うるち米」を使用。紹興酒と比較して、ふくよかながら軽やかで非常に飲みやすい黄酒です。お米なので「紹興酒」を名乗ることはできず、ボトルにも「特型黄酒」と赤い字で書かれています。

朱鷺黒米酒(通称:ヘイミー)【陝西省洋県産】

西安の南西に、天然の朱鷺やパンダが住みつくほど、豊かな自然区域があります。その地「洋県」にて、有機栽培で育てられた一級品の古代米「洋県黒米」を使用した黄酒です。

日本酒のように高い精米歩合と、低温発酵によってフルーティな味わいを実現。度数も低めで、女性や紹興酒が苦手な方におすすめな黄酒です。ぜひボトルごと冷やしてお召し上がりください。

紹興酒の原料についてまとめ

さまざまな原料からできている紹興酒は、日本酒と製法も似ていて、そのルーツという説もあるぐらいです。

独特な味わいに「まずい!」「苦手!」という人や、あまり馴染みのない人も多いかと思います。ただ、身近な日本酒との関わりを知ると、親近感が湧いてきませんか?

まずは家で餃子や麻婆豆腐、エビチリなど身近な中華料理を楽しむときなどにぜひ試してみてほしいです。苦手な人は飲み方を工夫すると楽しめるお酒に変わるかもしれません。いずれここでもさまざまな飲み方を紹介できればと思います。

原料だけでなく、紹興酒全般について知りたいという方は、こちらもぜひ併せてご覧ください!

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