先日、上海出身のホーさんが日本未流通の紹興酒を持ってきてくれたので、一緒に試飲をしました。
日本ではあまり知られていませんが、紹興酒にもいろんな種類があって、いろんな味わいのものがあるのです!
今回は、そのときの記録をすると共に、改めて紹興酒の種類について解説したいと思います。
紹興酒について、少し専門的な話になります。もっと初歩的な紹興酒の概要を知りたい方はこちらの記事をご参照ください。
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日本未流通の紹興酒「元紅酒(げんこうしゅ)」とは?
紹興酒は製法や糖分含有量によって、4つのタイプに分類されます。
そのうち、最もオーソドックスな製法、そして糖分量が少ないのが「元紅酒(げんこうしゅ)」です。
元紅酒は、糖分含有量が1リットルのうち1-15g未満と規定された紹興酒です。
糖分が少ないということは、味わいとしても、最も甘くない、紹興酒のドライタイプといえます。
今、日本で流通している紹興酒はほとんどが「加飯酒(かはんしゅ)」です。なので、元紅酒は、基本的には日本で飲むことができない紹興酒です。
紹興酒の4分類とは
紹興酒の4タイプを一覧にしてまとめました。
善醸酒(ぜんじょうしゅ)は、仕込み水に元紅酒を使用する非常に贅沢な紹興酒です。日本酒でいう貴醸酒にあたるお酒です。
香雪酒(こうせつしゅ)は、発酵の途中で糟焼(ツァオシャオ:紹興酒の酒糟から作った白酒)を投下し、アルコール度数が高まることで酵母が死滅します。そのまま醪として3ヶ月ほど置いて、糖分の高い紹興酒ができあがります。
日本において紹興酒は加飯酒のイメージが強く根付いていますが、実は4つのタイプごとに異なる個性を持つ、ユニークなお酒なのです。
紹興酒の名称 | 糖分含有量(1L中) | 型 |
元紅酒(げんこうしゅ) | 1g-15g以下 | 干型(ドライ) |
加飯酒(かはんしゅ) | 15.1g-40g以下 | 半干型(ややドライ) |
善醸酒(ぜんじょうしゅ) | 40.1g-100g以下 | 半甜型(やや甘口) |
香雪酒(こうせつしゅ) | 100g〜 | 甜型(甘口) |
試飲した紹興酒①日本酒の生詰め「一念䕶生(イーニエンフーション)」
通常は火入れをしてから瓶詰めするのですが、この紹興酒は、火入れをせずに瓶詰めし、その後に火入れをします。
日本酒でいう「生詰め」と同じ紹興酒と言えます。
加飯酒ではありますが、非常にスッキリとした味わいで、ほどよい酸味でグビグビと飲めてしまうのが特徴。
ラベルは昔の有名な中国の漫画家が描いたもの(名前が不明。調査中)
生詰めとは?
通常、日本酒は絞ったあと、そして貯蔵のあと、瓶詰めをする前に火入れを行います。生詰めは、絞ったあとの火入れは行いますが、その後は一切火入れをせずに出荷されるため、新鮮な味わいを楽しむことができます。
試飲した紹興酒②日本未流通の元紅酒「奈何11年(ナイフー)」
2007年に貯蔵し、2018年に出荷された元紅酒の11年熟成。色はややクリアな褐色。
熟成しているとはいえ、キュっとした酸味はワインを彷彿とさせ、紹興酒の奥深さを味わわせてくれます。新感覚!
冷やして飲みたい紹興酒です。
試飲した紹興酒③元紅酒の長期熟成型「乾心15年(チエンシン)」
こちらの紹興酒は元紅酒の15年熟成。色味は最も黒っぽいです。長期熟成により、メイラード反応が進んだものと考えられます。
味わいは、ほどよい酸味と、加飯酒に近いようなまろやかさが絶妙なバランスで、美味しい!個人的にはこの紹興酒が一番好みでした。
日本未流通の紹興酒を飲んでみた感想まとめ
加飯酒に慣れている私たちにとって、元紅酒のドライな風味は斬新で、食中酒としていい役割を果たしてくれるのではないかと期待に胸が躍りました。紹興酒の可能性を強く感じ、非常に有意義な時間となりました。
持ってきてくれたホーさんに感謝です。このお酒は「会稽山(かいけいさん)」という紹興の大手メーカーが作った限定ブランドなので、もう販売していないという点でも、非常に貴重な紹興酒なのでした。ありがとうございます!
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