干杯!中国酒探究家のdonです。
今回は紹興酒に合うグラスがどんなものなのかを実際に試飲しながら深堀してみました。
執筆者紹介 don(門倉郷史)
日本初の中国酒ガイドブック「黄酒入門」著者。赤坂・六本木・銀座にある中国郷土料理店で約9年勤務し、黄酒専門店責任者も兼任。2020年に独立し現在は黄酒専門WEB「八-Hachi-」やYouTubeなどで中国酒情報を発信中。代々木上原の中華料理店にも在籍。
▼紹興酒の冷酒にも燗酒にも◎ |
Contents
今まで紹興酒はどのようなグラスで楽しまれてきたのか
さて、これまで紹興酒はどのようなグラスで親しまれてきたのでしょうか?
中国と日本に分けて見てみましょう。
中国の紹興酒グラス
まずは紹興酒の産地である中国の話です。
僕が聞いた話や、中国に行ったときの経験を踏まえて挙げられるグラスは大きく分けて以下の3種です。
- 椀
- 陶器グラス
- 普通のコップ
ご飯を食べるような椀で酒を飲むというスタイルは日本になく、まさに中国式と言えるでしょう。
僕が紹興に行ったときは、瓶ビール用のコップや、ロックグラスなどが多かったです。
↓中国にはこういった伝統を感じさせる酒器もありますが、レストランや町場の料理店でこのようなグラスで紹興酒を飲むというシーンは見かけたことはありません。お祝いなど特別な日に使用しているのだと思います。
日本の紹興酒グラス
では、日本の中華料理店ではこれまで紹興酒をどのようなグラスで提供してきたのでしょうか。
- 瓶ビール用のコップ
- ロックグラス
- 徳利とお猪口
- 日本酒用のグラス
- 陶器グラス(中国茶用含む)
日本では一概に「このグラス!」と言い切るのは難しく、さまざまな種類で提供されている印象です。レストランと町中華など業態でも使われるグラスは大きく異なります。
紹興酒には専用のグラスがないため、お店側もどのようなグラスで出せばいいのか悩むのが正直なところ。
紹興酒のグラスは中国・日本共に決まりがなく、お店の考え方・スタイルに合わせて提供されているのが現状。
そもそもグラスによって紹興酒の味は変わるのか?
結論からお伝えすると、グラスによって紹興酒の味や香りは変わります。
厳密には「感じ方が変わる」といった方がいいのかもしれません。
酒の味わいは、香りも影響します。香りはグラスの形状によって感じとれる要素が変わってきます。また、味わいの感じ方も口に入ってくるときの面積や量によって変化します。
日本酒やワインなどもさまざまな形状のグラスが存在します。酒の特徴によってグラスを使い分けることで、そのお酒をより楽しむことができるのです。
それでは、実際に行った紹興酒に合うグラス探しのレポートをまとめます。
使用した紹興酒「夏之酒」
まず、今回使用した紹興酒は、「夏之酒(なつのさけ)」です。
爽やかでクリアな酸味と、後味に膨らむ穀物感が特徴。
▼夏之酒の詳細はこちら
https://ba-hachi.com/log_19/
紹興酒に合うグラス探しスタート!
今回用意したグラスはこちらの6種です。
- テイスティンググラス
- ワイングラス
- ラム用グラス
- 陶器・小(平タイプ)
- 陶器・中(椀タイプ)
- 干杯グラス
ラム酒用グラスを選んだ理由。それは古酒用のグラスに似ていたからです。
紹興酒は日本酒でいえば、古酒に近いお酒です。古酒用のグラスを見てみると、下が丸くて上がすぼまっているようなものがありました。
手順としては、テイスティンググラスで香りと味を見て、それを基準としました。その後に、他のグラスで試しています。
おまけ:紹興酒のテイスティング方法
紹興酒のテイスティング方法は、下記の手順で行います
- 色や光沢をチェック
- 香りを嗅ぐ(揺らしたり回さない)
- 香りを嗅ぐ(回す)
- 味を見る
香りは2回嗅ぎます。1回目に回したりしないのは、表面上から感じ取れるものをチェック。2回目に回すことで、酒の内面にある複雑な香りを感じ取っていきます。
準備 | テイスティンググラス
ISO(国際基準協会)によって規定された国際規格を準拠しているものを使用。ソムリエの試験対策や日本酒業界でも活用されています。
(2025/01/03 06:46:48時点 楽天市場調べ-詳細)
香り(1回目)
爽やかな酸味。雑味がなくクリア。ほのかな紹興酒臭。穀物、土臭さもあり。甘いバニラ香もわずかにある?
香り(2回目)
鼻をつくシャープなアルコール臭。漬物のような紹興酒独特の発酵臭。酸っぱそうな印象はある。
味
酸、旨味が広がる。爽快に口の中を駆け抜けて、一旦おさまるが酸味が再び湧き上がり、後味は麦のような穀物感でまとまる。
ワイングラス | ★★★★★
やや膨らみのある楕円形状のワイングラスです。
テイスティンググラスに少し近い形状ですが、違いとしては足が長いのとややグラスの厚みがあるということでしょうか。
香り(1回目)
広がりのある酸味。全体的にもわんと柔らかみを感じる。ナッツや穀物感も僅かに感じる。
香り(2回目)
酸はあるがテイスティングより穏やか。アルコール臭はしっかり広がって感じる。ナッツや穀物感は弱いかな。
味
酸味強め。一度膨れ上がって沈む。湧き上がってきて穀物感。最初の広がりがテイスティングより強め。バランスはいいなと思う。
ラム酒用グラス | ★★★
柔らかで丸みのあるフォルムが特徴。
香り(1回目)
香りは弱い。酸味、クリーミィさ、穀物感が小さなボリュームでまとまっている。酸がやや強いか。
香り(2回目)
酸味混じりの漬物臭を強めに感じる。アルコール感は弱い。
味
酸味は穏やか。波はあまり起きない。後から湧き上がる酸味。穀物感でおさまる。
陶器・小(平タイプ) | ★
洋服屋さんで購入したベトナムの陶器グラスです。平たいタイプで、量はそれほど多く入りません。
※香りを楽しむ形状ではないのと、回したりできないので陶器に関しては香り1回で行っています
香り(1回目)
感じ取り辛い。嗅ぎ続けてようやく感じる酸味。
味
甘旨そして酸。でも酸はかなり穏やか。そして全体的に丸まっている感じ。穀物感はあまり感じない。ピリピリ感はある。
陶器・中(椀タイプ) | ★
やや大きめの陶器グラス。僕が製作したものです(笑)
香り
平杯よりこっちの方が感じ取りやすい。それでも全体的に弱い。ほのかで綺麗な酸味。
味
酸味が弱くて良さが消えてしまっている。薄い酒、という感じ。
干杯グラス | ★★
形状は瓶ビール用グラスのようなもの。町中華でよく見られるタイプです。
香り(1回目)
酸味やナッツ感はあるが僅か。香りは楽しめない。
味
とても滑らかな酸味。味の波はあまりない。後味で苦味や渋味の動きは少しある。
▼干杯グラスはこちらで販売中!
紹興酒に合うグラスの結論
さて、紹興酒に合うグラス探しについて結論です。
「夏之酒」に関してはワイングラスがおすすめです。この酒の特徴である酸味や穀物感がしっかり楽しめます。
ただ、今回わかったことは、酒の特徴によって合うグラスは変わるということ。
例えば、酸味を和らげたい場合は陶器グラスがよいですし、飲みごたえを楽しみたいということであれば町中華風のグラスがよいでしょう。
というわけで、また紹興酒の銘柄ごとに試してレポートしていこうと思っております。
より紹興酒が楽しめるように、いいグラスの組み合わせをお伝えしていきたいのでよろしくお願いいたします!
▼家で紹興酒を嗜みたいときに。 |